SKIP

【書評】脳を鍛えるには運動しかない! 〜 運動が不安をやわらげる理由とは? 〜





今回は、「脳を鍛えるには運動しかない!」という本をご紹介させていただきます。

著者はハーバード大学精神医学准教授であるジョン・レイティ氏。

一般的には、運動するのは身体の健康のためと考えられていますが、レイティ氏は「運動の第一目的は、脳を育ててよい状態に保つことにある」と断言しています。


<こんな方におすすめ>

この本は、

・運動不足を解消したい
・不安やストレスを解消したい

といったお悩みをお持ちの方におすすめします。

また、運動が脳にどう効果的なのかを科学的に知りたい、という方にとっても読み応えのある1冊になると思います。


<どんな本か?>


運動は、

心肺機能を強化し
肥満を防ぎ
ストレスと不安をやわらげ
免疫系を強化し
骨を強くし
意欲を高め
脳を鍛える効果がある

という事実を脳神経科学の観点から徹底的に解説している

・・・というのが本書です。

2009年に出版された本ですが、内容は今でも充分役に立つことばかり、いや、自粛が続く今だからこそためになる有益な情報がギッシリと詰まっています。




morning-3759860_640.jpg




<どこが、どう面白かったか?>

個人的に面白かった第4章の「不安」というテーマについてご紹介します。

不安は、ストレス反応において、交感神経系と視床下部ー下垂体ー副腎軸の活動が高レベルに達した時点で発生するそうです。

例えば、スピーチしているとき、体には緊張や震え、呼吸困難、胃痛などの症状が現れ、感情面では恐怖を感じたりします。でもこれは自然なこと、とレイティ氏は断言されています。


つまり、不安は脅威に対する、ごく自然な反応であり、この不安や恐怖を感じている自分自身を客観的に受け入れることが大事なんだということですね。

ここはすごく重要なポイントだと僕は思いました。

とは言っても、受け入れるだけでは不安はなくならないわけで、「じゃぁ、どうするの?」っていうことですが、レイティ氏はここで「運動」をすすめているわけですね。

本の中では、実際にエイミーさんという不安障害を抱えていた患者さんを例に挙げて紹介していますが、エイミーさんは運動を通じて、朝から晩まで心配し続けるのをやめただけでなく、自分のことを積極的な人間だと思えるようにもなったそうです。


<研究データ>

2004年にサザンミシシッピ大学で行われた、運動が不安感受性を下げるかどうかを調べた研究が紹介されていました。

対象は、不安感受性が高く、全般性不安障害を抱え、しかし運動は週に1回するかしないかという程度の、54名の学生。

その運動不足気味の被験者を、ランダムに二つのグループに分け、どちらにも2週間のあいだに20分間の運動を6回させたそうです。

一方のグループは最大心拍数の60〜90パーセントという強度でランニングマシンを走らせ、もう一方のグループは最大心拍数のおよそ50%くらいのレベルでランニングマシンを歩かせました。

結果としては、どちらのグループにも不安感受性の低下が認められたが、激しい運動をしたグループの方が早く、大きな効果が出たそうです。しかもそちらのグループだけが、体に出る不安の症状を恐れなくなったそうです。

このグループは、運動によって鼓動と呼吸が速くなるのを経験し、そうした肉体の現象が必ずしも不安の発作につながらないことを学んだ、ということ。
そして、体の興奮が気持ちよく思えるようになり、興奮を一概に悪いことだと決めつけなくなった、ということです。

これはつまり、運動をして健康になっていく過程で、興奮とか緊張といった症状が少しずつ悪いものだと思えなくなり、興奮状態になっても命に関わることではないと脳の中がプログラムし直される、ということだそうです。


また、レイティ氏は、

・運動すると体の筋肉の張力が緩むので、脳に不安をフィードバックする流れが断ち切られる。
・体の方が落ち着いていれば、脳は心配しにくくなる。
・運動によって起きる一連の化学反応には気持ちを落ち着かせる効果がある

と言ったことに関しても、本の中で事細かく説明してくれています。


<まとめ>

・不安は脅威に対する、ごく自然な反応であると理解し、受け入れる
・運動して身体が健康になっていく過程で、脳がプログラムし直され、その結果、不安やストレスを感じにくくなる

といったことでしょうか。

今回は主に不安をテーマにした第4章だけを取り上げさせていただきましたが、他にも依存症や加齢、ホルモンといったものが運動とどう関係しているのかといったことや、ウォーキングやジョギングなど運動をするにあたってのポイントや注意点などについても、詳しく書かれています。

専門用語も多く、分厚くて読み応えがありましたが、とても説得力のある論理的な内容で、読み終わった後は「これはもう運動するしかない!」と思わせてくれた1冊でした。

運動にはメリットしかなく、もう「運動しない」という選択はないですね。

運動不足や不安、ストレスを解消するために、ぜひ、ソーシャルディスタンスといったようなマナーを守りながら、歩くこと、運動することを習慣にしてくださいね。


ということで、今回は「脳を鍛えるには運動しかない!」という本をご紹介させていただきました。