【5分解説#2】ヒトの寿命は歩くだけで変えられる!? 〜 染色体・テロメアの話 〜
今回も引き続き、長尾先生の「病気の9割は歩くだけで治るpart2」という本の中から、『「人間の最長寿命は120歳」は誰が決めた?』というところの話を解説していきたいと思います。
この黄色でマークしたところを読みますと、
私たちの体を構成する一つひとつの細胞の核のなかには、23対の染色体があります。その染色体の端っこには「テロメア」と呼ばれるものがあり、これが寿命を決めているのです。
テロメアは、染色体の端っこにあるキャップのような存在で、細胞が分裂するたびに短くなっていきます。よく回数券にたとえられるのですが、分裂するごとに回数券が減っていって、回数券を使い終わったら、細胞は分裂することをやめてしまいます。
分裂をやめた老化した細胞は、その細胞が本来担っている働きを十分にできなくなるだけでなく、炎症を引き起こすものをまき散らすなどの悪さもして、やがては死を迎えていく──。
つまり、テロメアが短くなることは、すなわち細胞の老化を意味していて、テロメアの長さが細胞の寿命を左右しているのです。
僕はこの本を読むまでテロメアについてよく知りませんでしたが、このテロメアが自分の寿命にとても重要な役割を担っているということですね。
とにかく、この「テロメア」っていう響きが古代ギリシャ人の名前っぽくてカッコいいなって思ったので、ネットで調べてみたところ、テロメア(telomere)とは、ギリシャ語で「末端」を意味する「telos」と、「部分」を意味する「meros」から作られた言葉だそうです。
やっぱりギリシャ語だったんですね!
そんなテロメアですが、元々の長さも、短くなるスピードの速さも、生まれつき個人差があり、それは遺伝子によって決められているそうです。
しかし、後天的な努力でテロメアが短くなるのを遅らせたり、さらにはテロメアを伸ばしたりできることがわかってきたそうです。
テロメアを伸ばす方法としてわかっているのが、運動です。それもハードなトレーニングではなく、軽めの有酸素運動が効果的。テロメアという観点からも、やっぱり歩くことが有効なのです。
と長尾先生。
前回の活性酸素の話でも、軽めの有酸素運動を推奨されていましたね。
ノーベル生理学・医学賞を受賞したエリザベス・ブラックバーンさんも、著書『テロメア・エフェクト』の中で、「テロメアの健康を保ちたければ、運動をすること」「中程度の運動で体を鍛えるのが、テロメアに良いのは明らか」と述べられているそうです。
調べたところによると、ブラックバーンさんは、
・軽めの有酸素運動を週3回程度続けること
・野菜や魚、海藻などの食事をとること
・7時間以上の睡眠をとること
・友人やパートナーとの良い関係を保つこと
といったことを挙げているようです。
また、他のある研究では、
中程度の有酸素運動を45分間、週3回ペースで半年続けてもらったところ、テロメラーゼの値は2倍になったそうです。
ちなみに、このテロメラーゼとは、僕たちの体にある、テロメアを修復してくれる酵素のことです。
テロメラーゼの値が半年で2倍はすごいですね。
他にも、
●運動をする人のテロメアは、しない人に比べて長い
●座ってばかりいる人のテロメアは、少しでも運動をする人に比べて短い
といったことが、いろいろな研究結果から共通してわかっているそうです。
そして、
テロメアを短くすると指摘されているのが、ストレスです。心理的なストレスを受けやすい人、心配性の人は、総じてテロメアが短い。
とのこと。
歩くこと以外にも、瞑想や気功などもストレスを和らげ、テロメラーゼを増やす効果が証明されているそうです。
それでは、今回の話をまとめますと、
寿命を左右するテロメア。
そのテロメアを伸ばすためにも、そしてそのテロメアを短くする原因でもあるストレスを軽減させるためにも、歩いたり、身体を動かしたりする習慣をつけましょう。
ということですね。
ということで、今回の話は以上です。
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